岸田政権の新たな経済政策に「働いたら負け」の声?減税や給付の内容まとめ

岸田首相は26日、政府与党政策懇談会内において「1人につき年間4万円の定額減税」や、低所得者への「1世帯あたりに合計10万円の支援」などを打ち出しており、これらの新しい経済対策が注目される中、政府が2日改めて発表した経済対策についてさらなる世論や注目が集まっています。減税や給付、その他経済政策についてその中身について詳しくご紹介します。

政府の新たな経済政策一覧

【定額減税・給付】所得税・住民税を一人当たり年間4万円減税/低所得世帯は7万円給付

今回の一番の注目点にもなったのが、所得税住民税の定額減税。賃金の上昇が物価高に追いついていない、国民の負担緩和やデフレ脱却に向けた一時的措置として、来年6月から減税をスタートできるよう進めていくとの方針が固まりました。
”一時的措置”という言葉の通り、これは”来年のみ”適用となる政策であり減税措置が続くわけでなく、別の様々な増税が検討されていることを考えれば負担軽減と言えるのかは甚だ疑問です。検討されている増税リストについてはこちらの記事でも紹介しています。

今回の定額減税・給付で提言されているのは以下の通りです。

納税者+扶養家族
1人あたり
年間4万円の減税
(所得税/3万 住民税/1万)
納税者本人・その扶養家族を対象
推定9000万人程が該当
住民税非課税世帯
一世帯あたり
7万円の給付
住民税納付・所得税未納付世帯は
住民税非課税世帯と同水準の給付を検討
推定1500万世帯が該当

この他、低所得な多子世帯などにも適切な支援の具体策をまとめると発表しており、少子高齢化対策も加味した減税・給付以外にも子育て世帯へ向けた策を進めるとのことです。

【ガソリン補助金延長】来年4月末まで /電気ガス代の負担軽減

今回は物価高騰への対策を”第一の柱”とし、その中でガソリン等の燃料価格や電気・ガス料金の緩和措置を引き続き行うとしています。

引用: e燃費「最近一年間のレギュラー価格」

ガソリン価格の抑制補助金

家庭や中小企業の負担軽減のため、ガソリン価格抑制の補助金は、来年4月末まで延長するとしており、

具体的にはレギュラーガソリンがであれば、
・全国平均1リットルで185円を超えた部分は全額補助
・168円~185円ままでの間はその60%を補助
→小売価格の平均を175円程度に抑制

電気・ガス料金の負担軽減策

同じく家庭や企業の負担が大きい電気とガスについても、負担軽減策を来年4月まで延長を予定しており、

電気料金は1キロワットアワーあたりで
・家庭向けは3.5円
・企業向けは1.8円を補助

都市ガスは家庭や契約料の少ない企業については
・一立方メートルあたり15円を補助

電気・ガスの負担軽減策について、来年5月には国際的な燃料価格動向を追った上で支援の幅の縮小を見極めていくとの方針を示しています。

【企業向けの税制措置】賃上げ・成長促進を目的

現在行っている企業の賃上げ税制措置は来年3月末までが期限となっていますが、その期間を延長した上で企業側も賃上げを適応しやすくなるよう検討中とのことです。

・給与を増額した分のうち大企業では30%、中小企業では40%を上限に、法人税額から控除できる(期間延長)
・その年が赤字になり控除を受けられない場合→翌年以降一定期間内に黒字計上できた年まで繰り越し可能にする

現状の内容としては上記の通りですが他にも中堅・中小企業の収益力向上や賃上げ推進のための設備投資の補助金等を設ける予定で、

このほか、国内開発による特許等の知的財産で得た所得にかかる法人税について優遇する案や、脱炭素や経済安全保障で重要となる蓄電池・半導体といった物資の生産でも、法人税の優遇や整備手続きの緩和等を行うことも検討されるとのことです。

医療・介護業界の人手不足や賃上げ対応

賃上げについては、医療や介護、障がい者福祉の現場で働く人々を中心とした財政措置による処遇改善を行うことで賃上げ・人手不足に対応していく方針を固めています。

・医療介護の職員および補助者に対しては来年2月から月6000円程の賃上げ

医療現場に対しては、その他食材費高騰への対応として入院患者への食費の上乗せ支援や、インフルエンザ・コロナ等流行による医薬品増産のためのメーカーへの人材確保・設備増強等の取り組みや支援を行うようです。

社会保険料負担の区切り”年収の壁”対策

配偶者がおり、その扶養に入って働く人が、一定年収を超えると扶養を外れ社会保険料負担が義務づけられるいわゆる年収の壁。その対策として

業務改善等に取り組む企業に対しては、106万円の壁をこえても労働者の手取りが減らないよう
・従業員一人あたり最大50万円を助成

を行うことを中心にしています。年収の壁については下記の記事でも紹介しています。

【パート主婦必見】106万と130万の年収の壁がなくなる⁉社会保険等、10月からの最新の制度変更を解説

そもそも”年収の壁”とは? 現状日本では納税の義務のもと、働き稼いだ年収に応じて相応の税金を払ったり、保険に加入する義務が伴う仕組みがありますが、その中でも年収額…

【子ども子育て支援・手当の拡充】開始の前倒し

児童手当

来年10月に施行予定としていた所得制限の廃止等を含めた児童手当の拡充について、
・振込開始時期を2025年2月から2024年12月に前倒し

低所得家庭への受験料等の支援

子育て支出負担軽減や学習支援の一つとして、子どもの進学を後押しするための受験料等の支援を行うとしています。

一定未満の所得であるひとり親世帯や所得の低い世帯を対象に下記の補助を行う方針のようです。
・高校三年生…大学入学共通テストや大学受験料について合わせて5万円程を補助
・高校三年生と中学三年生…模擬試験費用の補助

子ども誰でも通園制度

来年度から試験的な事業開始を予定していましたが、今年中に開始可能にできるよう支援を行うとしています。内容としては言葉の通りです。

全ての子育て家庭を対象に
親が就労していない家庭でも子どもを保育所等に預けられるようにするもの

保育所待機児童数及び保育所等利用率の推移グラフ
引用: こども家庭庁「保育所等関連状況取りまとめ(全体版)」

しかしこども家庭庁より令和5年9月1日に発表された「保育所等待機児童数及び保育所等利用率の推移」データによると、未だに待機児童の数は2680人程おり、保育士の人材不足や保育園での虐待等ニュースにより、”保育の質”についても注視していくべき必要がある中、どのように今回の制度を進めていくのか、その具体策も深く検討する必要がありそうです。

【キャリアアップや就労支援】リスキリングや高齢者向け支援

学び直しの場を設けるリスキリング支援

非正規雇用で働く人々がキャリアアップに向けて学習できるよう、対面やオンラインで夜間・休日を含め働きながら行える職業訓練の場を設置するとしています。学習支援やキャリア相談を含め全体で150時間程を想定しており、厚生労働省は今年中にも試行事業を始める予定となっています。

高齢者への就労支援

高齢者への支援は、シルバー人材センターに登録した高齢者を対象に、公民館等を利用して働く場所を作りその送迎費用を負担するものです。免許返納により移動手段がなく働けない人を支援しつつ、集まる場を作ることで高齢者の孤立を防ぐことを狙いとしています。

両立支援等助成金

働きながら子育てをする人への環境整備のための中小企業への助成金のことで、育児休業中の人や時短で働く人の業務等を代替した従業員に企業が手当を支給する場合に、体制作りのための経費も含み助成金が支給されます。

・育休取得1名に対し、毎月上限10万円支給を1年間(最大125万円)
・時短勤務1名に対し、毎月上限3万円支給を子どもが3歳になるまで(最大110万円)

国民の声とまとめ

今回様々な経済政策が発表されたわけですが、その中でも特に大きく注目されたのが所得税・住民税の定額減税でしょう。社会調査研究センター世論調査世論のアンケート調査では、「評価しない」が66%と、今回の定額減税には厳しい意見や声も聞こえています。そもそも、納税者が払った税金を集めて行われる政策。多くのお金を払っている納税者への給付が4万円なのに対して、税金を支払っていない世帯への給付が7万円という金額の違いがある中での”還元”という言葉にに多くの現役世代が憤りを隠せないようです。
実際に生活保護費と年金受給を比較した内容等の記事をこちらで紹介していますが、働くことによって得られるもの、働かなくても得られるもの、その差異をもっと明確にしなければ「働いたら負け」という言葉が出てきてしまうのも頷けてしまいます。

また、今後数年先の多くの増税案が進んでいる流れの中で、一時の”還元政策”に一体どれほどの効果や価値があるのか。
政府の経済対策を頼りではなく、自らの意思によって資産を守る方法を考えていくことがより一層大切に感じます。

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